世界一座りすぎの日本人が
行うべき4つの対策
あなたは1日のうち何時間を座って過ごしていますか?この記事を読み進める前に、一度考えてみてください。
実は、現代人は1日の約60%を座っていると言われています。
そして、私たち日本人が1日のうちに座っている時間は、世界で一番長いという研究結果が報告されています。さらに、1日に長時間座り続けることが死亡リスクを高めるという研究も同時に発表されています。
つまり、私たち日本人は座り続けることによる死亡リスクが、最も高い国民であると言えるのです。
この記事では、まず座りすぎが健康に与える悪影響について解説し、その後に世界一座り過ぎである日本人が行うべき4つの対策について紹介していきます。
1日の大半をデスクの前で過ごすというデスクワーカーの方は、是非参考にしてください。
日本人は世界一座っている!?
上のグラフは、2012年にシドニー大学が行った調査結果になります。この調査によると、世界20カ国の総座位時間の平均が300分/日に対して、日本では420分/日と平均から2時間も多い結果となりました。そして、日本は世界一座っている国であると示されました。
参考までに弊社(Bauhutte)で行ったアンケート結果も載せておきます。
弊社のアンケート結果では、1日のうち椅子に座る時間として5時間以内が最も多く全体の約25%を占めています。そして、過半数を超える人数が、1日に5時間以上座っているという結果になりました。さらに驚くべきは、1日に9時間以上椅子に座っているという人数が2番目に多いという結果です。
シドニー大学の調査結果と弊社のアンケート結果から、日本人は1日のうち非常に多くの時間を座ってい過ごしていて、世界的にみても突出している(座りすぎている)ということがわかると思います。
それでは、これらの調査結果を頭に留めておきつつ、座りすぎが引き起こす健康リスクについて見ていきましょう。
「座ることがあなたを殺す」とは?
ここ数年で、世界中の研究者達が座り過ぎによる健康リスクについて言及しています。具体的には、以下のような内容になります。
- ・座りすぎが肥満や糖尿病、高血圧、がんなどの病気を誘発し、世界で年間200万人の死因になっている(2011年・WHO)
- ・1日11時間以上座る人は、4時間未満の人と比べ、死亡リスクは40%アップする(2012年・シドニー大学)
- ・1日9時間以上座っている成人は、7時間未満と比べ、糖尿病のリスクが2.5倍高くなる(2018・明治安田厚生事業団体力医学研究所)
- ・長時間の座位が記憶形成に関わる脳領域を薄くし、認知能力を低下させる(2018・カリフォルニア大学)
上記のように、多くの研究者達が座り過ぎは飲酒や喫煙と同じくらい健康を損なうリスクがあると警告し、「Sitting is killing You(座ることがあなたを殺す)」とまで言われているのです。
また、これらの生死に関わる重大な疾患以外にも、座りすぎが原因で引き起こされる身体の不調は多くあります。
以下は、弊社で行ったデスクワークの弊害についてのアンケート結果です。
椅子に座った長時間のデスクワークが原因で、腰痛、肩こり、お尻の痛みなどの身体の不調をきたしていることが分かります。
ここまで読んでいただければ、座りすぎが引き起こす健康リスクの高さについて十分に理解できたと思います。そして、世界一座りすぎである私たち日本人はより一層注意し、対策をしていく必要があると感じたはずです。
そこでここからは、「世界一座りすぎの日本人が行うべき4つの対策」として、座りすぎによる健康リスクを減らすためにオススメな4つの対策をそれぞれ紹介していきます。
【対策①】30分に一度立ち歩く
人は座っている状態では血流速度が急速に下がり、30分以上座り続けると血流速度は70%も低下すると言われています。その結果、血液循環のリズムが崩れ、血液中に老廃物や脂肪があふれ出し、血液がドロドロの状態になってしまいます。この状態が習慣的に続くと、血管が詰まりやすくなってしまうので、心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な疾患にかかるリスクが高まってしまいます。
そういったリスクを回避することができる対策が、30分に一度立ち歩くという方法です。この対策は最も簡単で、最も効果的な方法です。
方法は簡単で、30分に一度(少なくとも1時間に一度)はトイレや飲み物を取りに行ったりと、デスクワークを中断して少しでも立ち歩く時間を作るだけです。
しかし、仕事に集中していると、いつの間にか時間が過ぎて忘れてしまうということがあると思います。なので、スマホやストップウォッチなどを使って30分おきにリマインドしてくれるような仕組みを作りましょう。Apple Watch をお使いの場合は、スタンドという機能があるので、スタンドリマインダーが通知されるたびに忘れず立ち歩くように心がけましょう。
また、「わたしのオフィスでは頻繁に席を離れるのが難しい。」という人もいるかと思います。そういった方の場合は、30分に一度デスクの前で立ち、かかとを上げ下げしたり、スクワットをするだけでも効果的です。
【対策②】スタンディングデスクの導入
スタンディングデスクを導入して、座って仕事をする時間と立って仕事をする時間を交互に行うワークスタイルを取り入れるという方法です。
スタンディングデスクを導入することで、デスクワークを中断せずに【対策①】の効果が得られます。具体的な方法としては、30分座ったら、30分立つといったように大体同じくらいの時間を交互に繰り返すだけです。また、立って仕事をするときに、【対策①】で紹介したかかとの上げ下げやスクワットといった軽い運動も取り入れることで、より効果が得られるでしょう。
さらに、スタンディングデスクで仕事をすることで以下のようなメリットもあるのでオススメです。
- ・腰痛、肩こり、痔の改善
- ・集中力を高め、生産性の向上
- ・眠気の抑制
特に腰痛・肩こりの改善に関して言うと、非常に効果があります。少し個人的な話になりますが、現在筆者は仕事中にスタンディングデスクを使用しています。スタンディングデスクを使用する以前は、慢性的な肩こりや腰痛に悩まされていました。しかし、スタンディングデスクを使用するようになってからは、以前の肩こりや腰痛が嘘のように無くなり、デスクワークを快適に過ごせるようになりました。以前の筆者のように、肩こりや腰痛が酷く仕事に影響が出ているような方は、一度スタンディングデスクを仕事に導入してみるのがいいかもしれません。
スタンディングデスクを導入する時のポイントを以下にまとめておきます。
デスクがない場合
一からオフィスや自宅にスタンディングデスクを導入する場合は、昇降機能があり、かつ電源 or ガス昇降タイプのものがオススメです。ボタンやレバー1つで座り姿勢と立ち姿勢をスムーズに切り替えられるので、頻繁に高さを変えて使いたい場合は非常に重要なポイントです。手動タイプのスタンディングデスクの場合、比較的安価で手に入るものの、高さの調整が面倒くさいです。そのため、座り姿勢と立ち姿勢を頻繁に切り替えたいという場合にはあまりオススメできません。
既にデスクがある場合
オフィスや自宅に既にメインデスクがある場合は、卓上タイプのスタンディングデスクがオススメです。
今あるデスクに載せるだけなので、簡単に導入することが可能です。また、既存デスクの廃棄にかかる無駄な手間や費用を節約することもできます。さらに、一般的なスタンディングデスクよりは、安価で購入することが可能です。
卓上タイプのスタンディングデスクを選ぶ際は、天板の広さに注意しましょう。卓上タイプのものは、メインデスクの上に載せて使うため、通常のデスク天板より面積は狭くなります。そのため、天板サイズを意識せずに購入してしまうと、実際にデバイス(ディスプレイ、キーボード、マウス等)を載せて使ってみたら机上のスペースが無くなり作業がしづらいという状況に陥ってしまいます。例えば、デュアルディスプレイ(もしくはディスプレイとノートPC)で使いたい場合には、幅90cm × 奥行き50cm 程度の天板面積のものを選ぶようにしましょう。
【対策③】正しい座り姿勢を身につける
ここからは、椅子に座っている時に行うべき対策を紹介していきます。
長時間のデスクワークが原因で引き起こされる腰痛や肩こりを防ぐには、正しい座り姿勢を身につける必要があります。
以下で紹介する6つのポイントを参考に、正しい座り姿勢を身につけましょう。
- 1. 椅子に座るときは前かがみでお尻をグッと一番後ろまで引く
- 2. あごを引き背筋を伸ばす
- 3. 肩の力を抜きリラックスする
- 4. 椅子に肘掛けがある場合、肘は肘掛に置き、90°になるように心がける
- 5. ひざが股関節と平行、またはわずかに高くなるようにする
- 6. 机と椅子の間が開きすぎないないよう調整する
また、骨盤を立てる座り方について以下の動画で簡単に紹介しています。1分30秒で見ることができるので、ぜひ一度ご視聴ください。
【対策④】チェアクッションの勧め
ここでは、正しい座り姿勢をサポートしたり、お尻の痛みなどを軽減したりするのに効果がある2タイプのチェアクッションについて紹介します。
チェアクッションをあなたの椅子に導入するだけで、座りすぎが原因で引き起こされる身体の不調(特に腰痛、肩こり、痔、お尻の痛みなどに効果があります)を軽減するのに役立ちます。
② ランバーサポート
ランバーサポートとは、理想的な着座姿勢をサポートしてくれるコンパクトクッションです。椅子の背もたれ(腰部分)に固定して使います。ランバーサポートを使用することで、座った時に曲がった背筋を伸ばし、腰への負担が少ない理想的な正しい着座姿勢をサポートしてくれます。そのため、長時間のデスクワークやドライブでも疲れにくくなる等の効果が得られます。
① 座布団タイプ
椅子の座面に載せて使用するクッションです。へたった椅子のクッション性を復活させることができます。さらに、お尻や太もも付近にかかる体圧を分散し負担を軽減したり、お尻の痛み(痔など)や疲れ対策に役立ちます。
今回は2種類のチェアクッションとその役割について簡単に紹介させていただきました。チェアクッションの役割や選び方についてもう少し詳しく知りたいという方は、以下の記事がオススメです。
【腰痛持ち必見】椅子に取り付けるクッションの役割と選び方を徹底解説
この記事を見る「正しく座り、正しく立つ」ためのデスクレイアウト集
健康的に働くために「座りすぎ」を避けることはもちろん、「立ちすぎ」も避けなくてはなりません。「座り姿勢」と「立ち姿勢」を適度に取り入れ、長時間同じ姿勢でいることのないようにしましょう。大切なのは、それぞれの姿勢のときに「正しい姿勢」を心がけることです。
下記では「昇降式デスク」や「スタンディングデスク」を活用して身体に負担をかけにくいデスク環境を整えるデスクレイアウト例を多数紹介しています。ぜひ参考にしてください。
テレワークの最強デスクレイアウト12選!オフィス以上の環境を構築
この記事を見るまとめ
最後に、この記事で紹介した内容を簡単にまとめておきます。
- ・日本は世界一座っている国
- ・座り過ぎは飲酒や喫煙と同じくらい健康を損なうリスクがある
- ・デスクワーク中に30分に一度立ち歩くことで、座り過ぎによる健康リスクを回避できる
- ・スタンディングを導入して、座り姿勢と立ち姿勢を切り替えるワークスタイルを取り入れるのがオススメ
- ・正しい座り姿勢を身につけることは、腰痛や肩こりの改善に効果的
- ・チェアクッションを使うことで、座り姿勢の負担を減らすことができる