日本人に最も多い緊張型頭痛とは?
首・肩こりとの関係、改善方法を徹底解説
毎日長時間のPC業務を行うデスクワーカーの中には、頭痛に悩まされている方も多いのではないでしょうか。デスクワークと関連が深い頭痛の種類に、「緊張型頭痛」と呼ばれるものがあります。
この記事では、この「緊張型頭痛」に焦点をあて、緊張型頭痛の症状や原因をはじめ、最終的には痛みを改善する方法や効果的な予防方法について詳しく解説していきます。
緊張型頭痛とは?どんな症状が出るのか?
それではまず、「緊張型頭痛」とはどのような頭痛のことを言うのか見ていきましょう。
「緊張型頭痛」とは、頭・首・肩周辺の筋肉が緊張することによって引き起こされる頭痛です。具体的には、頭周辺の筋肉が緊張することにより血流が悪くなり、その周辺の神経が刺激されることで頭の痛みが引き起こされます。
そして日本人が抱える慢性的な頭痛の中で最も多い頭痛が、この「緊張型頭痛」であるとされています。詳しい原因は後述しますが、働きすぎの日本人の習慣(世界20カ国の中で平日に座っている時間が世界一とされている)が大いに関係していると言えるでしょう。
続いて、「緊張型頭痛」による主な症状を見ていきます。もしあなたが以下のような症状で悩んでいる場合、「緊張型頭痛」である可能性が高いでしょう。
- ・頭全体や後頭部を締めつけられるような痛み(片頭痛の場合は目の周辺やこめかみが痛む。また吐き気を伴うこともある。)
- ・頭痛以外にも首・肩の痛みやコリの症状がある
- ・痛みが出た時に、運動をすることで痛みが和らぐことがある
もし、目の周辺やこめかみ部分が傷んだり、頭痛とともに吐き気を伴うことがあれば緊張型頭痛ではなく、「片頭痛」の可能性があります。
片頭痛について詳しく解説した記事があるので、こちらを御覧ください。
片頭痛の治し方。原因から症状、対処法や頭痛の種類まで徹底解説!
この記事を見る緊張型頭痛が引き起こされる原因を知る
「緊張型頭痛」は、肉体的ストレスと精神的ストレスが過度にかかることによって引き起こされると考えられています。
最も身近な原因を挙げるとすると、やはりデスクワークです。デスクワークでは長時間同じ体勢でPC作業を行うため、首・肩・腰などに肉体的ストレスがとてもかかります。さらに、あなたの職場環境が残業が多い・上司や同僚と馬が合わないといった場合には、同様に精神的ストレスも溜めてしまいます。そういった状況が長く続くと、「緊張型頭痛」を誘発してしまいます。
それでは上記のことを踏まえて、弊社で実施した以下のアンケート結果を参考までに見てください。
※アンケート実施期間:2018年4月~2019年5月、有効回答数:971件
アンケートに回答いただいた971人のうち約8割以上の方が、一日に5時間以上も椅子に座っていることが分かりました。
また、長時間のデスクワーカーはやはり数多くの身体の悩みを抱えていることが分かりました。そして、この記事で言及している頭痛に関しては、おおよそ6人に1人の割合で悩んでいることが分かりました。さらに、「緊張型頭痛」と関係の深い首・肩の痛みやこりなどの症状を見ていくと、実に過半数以上の人が悩んでいることが分かります。
ここまで読んでいただければ、「緊張型頭痛」の原因としてデスクワークが深く関わっていることが理解できましたね。そして、もしあなたが頭痛という悩みを抱えているとしたら、デスクワークの改善が必要です。
そこでここからは、デスクワークを見直して「緊張型頭痛」を改善する方法や日常生活に取り入れられる予防策を紹介していきます。
デスクワークを見直して頭痛を改善する方法
①肉体的ストレスを減らすための正しい座り方
デスクワーカーにとって、机に向かって長時間仕事をすることは避けられないですよね。しかし、正しい座り方を覚えて、長時間のPC作業でも肉体的ストレスが溜まりにくい環境を作ることは可能です。
それでは、身体的ストレスがかかりにくい正しい椅子の座り方を紹介します。
以下の画像を参考に、6つのポイントに気をつけて椅子に座ってみてください。
- ① 椅子に座るときは前かがみでお尻をグッと一番後ろまで引く
- ② あごを引き背筋を伸ばす
- ③ 肩の力を抜きリラックスする
- ④ 椅子に肘掛がある場合、肘は肘掛に置き、90°になるように心がける
- ⑤ ひざが股関節と平行、またはわずかに高くなるようにする
- ⑥ 机と椅子の間が開きすぎないないよう調整する
いかがですか?慣れるまでは少し窮屈に感じるかもしれませんが、いつもの座り方に比べて頭の重みを身体全体で支えているように感じませんか?
この座り方は、首・肩・腰などに負担がかかりにくい理想的な座り方とされています。この姿勢を長時間のデスクワークの中でもキープできていれば、極力肉体的なストレスを首や肩などにかけることなく仕事をすることが可能になります。
正しい椅子の座り方については、以下の記事で詳しく紹介しています。是非参考にしてください。
腰痛対策 正しい椅子の座り方②仕事の合間にできる頭痛体操
つづいて、「緊張型頭痛」の症状が出た際に効果的な頭痛体操の方法を紹介します。後頸筋(こうけいきん)と僧帽筋(そうぼうきん)をほぐし、痛みを和らげることができます。
【1. 後頸筋ストレッチ】
このストレッチは椅子に座った状態でできるので、デスクワークの合間に行うことができます。
※立った状態でも行うことは可能です。やり方は、以下の3手順です。
- ① 頭は正面を向け、肘を軽く曲げて、両手を胸の高さと水平なるように上げる
- ② 左右交互に肩を突き出すように身体を回す
- ③ 2分間続ける
椅子に座り両足を揃え、頭を正面に向けた状態で、両手を胸の高さと水平の位置まであげます。
この状態から、左右の肩を交互に前に突き出すように回します。この動作を2分間行ってください。
このストレッチのポイントは、頭や首は正面を向けたまま動かさないことと、肩を突き出す時に腰からひねらないことの2点です。
【2. 僧帽筋ストレッチ】
このストレッチは立った状態で行ってください。
実際、デスクワークの連続作業時間は1時間未満であることが推奨されています。そのため、1時間に1回は席を一度立ってこのストレッチを行い休憩することをオススメします。
やり方は、以下の4手順です。
- ① 肘を軽く曲げる
- ② リュックサックを背負うイメージで両腕を前へ回す
- ③ 洋服を脱ぐイメージで両腕を後ろへ回す
- ④ 前と後ろをそれぞれ10回繰り返す
足を肩幅に開き、リラックスした状態で肘を軽く曲げます。
この状態から、リュックサックを背負うイメージで肩を前方に回します。この動作を10回繰り返し行ってください。
前の動きが終わったら、今度は着ている服を脱ぐイメージで肩を後方に回します。この動作も同様に10回行ってください。
これら2つのストレッチをデスクワークの合間に行うことで、「緊張型頭痛」と関係の深い後頸筋と僧帽筋の2つの筋肉をほぐすことができます(肉体的ストレスの緩和)。また、1時間に1回休憩をとって運動することで、気分もリフレッシュすることができ、精神的ストレスの解消にも繋がります。
日常生活に取り入れる効果的な頭痛予防策
①適切な高さの枕を使う
長時間のデスクワークと同様に首や肩に身体的ストレスがかかりやすい場面が、寝ているときです。睡眠時に高さの合わない枕を使っている場合、長い間(おおよそ7時間)首や肩の筋肉に負担をかけることになります。そのため、「緊張型頭痛」を予防するためにも、正しい高さの枕を日頃から使うようにしましょう。
以下の記事では、最適な高さの枕のチェック方法や正しい枕の使い方などを詳しく紹介しています。是非参考にしてください。
肩こり・首こり・いびきを改善!理想的な枕の高さとは?②ストレートネックを改善&予防する方法
ストレートネックの人は頭の重みを首や肩だけで支えてしまうため、そうでない人に比べて「緊張型頭痛」引き起こす可能性が非常に高くなります。ストレートネックを改善するだけで、頭痛も改善されるというケースも多くあります。まずは、以下の記事を参考に、あなたがストレートネックではないかチェックしてみましょう。また、治し方や予防法も丁寧に書かれているので、是非実践してみてください。
ストレートネックを自力で改善&予防!今すぐできる4つの治し方③あなたの身体に合った「椅子の座面」「机の高さ」を知る
「緊張型頭痛」を改善する上で、デスクワーク時の正しい姿勢を身につける重要性については前述しました。それに加えて重要なことが、あなたの身体に合った椅子と机の高さに調整することです。椅子と机をあなたに最適な高さにするだけで、正しい着座姿勢が取りやすくなります。
以下の記事では、あなたの身体に合った椅子と机の高さを算出する計算ツールを用意しています。是非一度お試しください。
机の高さと椅子の座面の高さの関連性
まとめ
最後に、この記事の内容を簡潔にまとめておきます。
- ・「緊張型頭痛」は、頭・首・肩の筋肉の緊張と深く関わりがある。誘発する主な原因は、デスクワークである。
- ・「緊張型頭痛」は、頭全体を締め付けられるような痛み、首や肩の痛みやコリも伴うといった症状がある。また、軽い運動により痛みが緩和することもある。片頭痛の症状とは異なる。
- ・改善方法として、正しい座り方を身につけること、デスクワークの合間で頭痛体操を行うことがオススメ。
- ・その他の対策として、正しい高さの枕で寝ること、ストレートネックを改善することも効果的。